103万円のそもそもを問う

 元旦の能登半島の地震から始まった2024年ももうすぐ終わります。地震と大雨による甚大な被害は大きく、復旧が進まない地域の映像を見るにつけ胸を痛めている方は多いのではないでしょうか?

 さて衆院選で躍進した国民民主党の公約、「103万円の壁の引き上げ」が現実となります。当面の着地点は123万円のようですが、そもそもどう考えればいいのでしょう。さらなる引き上げを期待して待つような話ではないと感じるのです。

 能登半島の復興にも、子どもから高齢者に至るまで困窮の度合いを増す人たちはの支援にも、多くの納税者は必要なところに有効に税を充ててほしいと思うでしょう。

 しかし、税は公平・中立・簡素という観点から構築されるべきものです。その「公平」という点で、この103万の壁の引き上げが理にかなっているのか、今、問われるべきではないでしょうか。

 ご存知のように所得税は、1年間の給与収入から給与所得控除55万円(年収162.5万円以下の場合)と基礎控除48万円を差し引いたあとの「課税所得」に課されます。

 つまり年間の給与収入が控除の合計103万円までであれば所得税は発生せず、それを超えた分の課税所得に所得税が課され、その人が世帯主でない場合、世帯主にも影響を与える仕組みです。

 この仕組みはそもそも、世帯主である正社員の夫パートの妻を前提にした税制ですが、現在は共働きやあるいは単身で生計を立てている人々の方が一般的です。専業主婦の内助の功を評価といいますが、今どきは主たる働き手として生計を維持しながらの単身子育て、単身介護(長距離も!)、あるいは両方も珍しくはありません。

 多様な問題をそれぞれが抱える時代に、もっと個にフォーカスしてほしい。いつまでこんなオールドモデルを踏襲するつもりなのか絶望的な気持ちになります。

 まずは123万、ゴールは178万などという話を聞く度に、「違うそうじゃない」とひとり突っ込む年の瀬なのでした。