今こそ、地域にCAPを広めるとき

 ジャニーズで性被害を受けた人たちが、児童虐待防止法改正を求め与野党に39,000人あまりの署名を提出したと報じられました。

 多くの親は、わが子が女の子なら、性暴力に遭うかもしれないことを心配し注意を促すでしょう。しかし社会は、男の子が性被害の対象になることを同じ深刻さで心配してきたでしょうか。日本を代表する大手芸能プロダクション社長による少年たちへの性暴力を通じてBBC(英国放送協会)が世界に訴えたのは、実態を知りながら何十年も見て見ぬふりをしてきた日本のメディアと、それを受け入れている日本社会の感覚です。

 憧れの世界で頑張ろうとした彼らが、魂の殺人ともいえる性暴力に遭ったにも関わらず身近なおとなに訴えなかったのは、なぜなのでしょうか。そのような社会であることを知っているからであり、社会もまたこの犯罪を見過ごし加担してきたと言えます。

 遅すぎたとはいえ、これを機に男性の性被害、男の子どもの性被害があることも強く周知すべきです。子どもと関わる親、保育士、教員、習い事の指導者などの中には、子どもにとって嫌な触り方をするおとなもいること、男の子であっても誰にでも起こることを、知識として子どもに伝えておくべきなのです。

 また周囲のおとなは、子どもが「言える」環境を整える、つまり、地域のおとなが子どもの話を信じて聴く力をもつことが重要なのです。
「多摩市子ども若者の権利を保障し支援と活躍を推進する条例」を制定した多摩市こそ、周知啓発に留めず、子どももおとなも、自他の人権を守るためのスキルを高める取り組みが求められています。