健幸都市、多摩市に必要な人材とは

阿部市長は6年ほど前、健幸都市実現のために、厚労省からまちづくり政策監を招きました。部長以上、副市長未満という「特別職の秘書」は初めての設置でしたが、縦割り行政に横串を刺す、つまり部の垣根を越えて、連携して課題に取り組むために不可欠だとの説明でした。2年の任期中に、市の職員は部署を超えた連携や、国や都、民間との連携など仕事のノウハウを学び自立につなぐとのことでしたが、それは以後3代にわたりました。そして今、「全庁取り組みのステージは終わりつつある。この度は新しく部長職とし国から来て頂く」と、総務常任委員会に報告がありました。健康福祉部はこの方が3人目の部長となりますが、市の職員だけで課題解決できる見通しは立たないという意味なのでしょうか。

 東京新聞にこんな記事がありました。八王子市高齢者いきいき課の職員をしながら地域づくりに向けた活動をしている方の記事です。

 2022年に市民有志で立ち上げた「はちおうじ若者会議」(通称・はちわか)は、前年に「多摩市若者会議」に参加したことがきっかけだそうです。以降、町の未来像を考えるワークショップやまち歩きイベント、地域のお祭りでの出店、市内の事業者をつないだオリジナルドーナツの開発などに携わってきました。

 しかし、そもそもは青梅市役所で一生懸命に働いていた両親の姿を見て「私も人のために働きたい。」と公務員を志したそうです。

その思いが「はちわか」の活動に通じ、住民から寄せられた困り事の解決に動いたり、昨年11月には、地域住民がつながるイベントをと相談され、キャンドルナイトを企画。静かな集合住宅を明かりが照らし、子どもから大人まで笑顔が広がるのを見て手応えを感じたと語っていました。

「役人というのは、人の役に立つ人」。入庁間もないころに上司に掛けられた言葉を胸に刻むという若い職員の紹介記事です。

 え!?これこそ健幸都市の職員の仕事ではないでしょうか?多摩市の若者会議から、こんな素晴らしい職員が育っていたのです。多摩市の職員にもいないはずはありません。

 私たち生活者ネットワークは、自治体職員の力で、部を超えた縦横の連携や、民間に学び市民力を活かせる市政運営を目指すべきだ、そのための人材育成が不可欠だと言い続けてきました。その途上での試行錯誤の経験が無駄になることはないと思うのです。

 阿部市長は、国や都とつながりのある人材を欠くことができないようですが、多摩市という自治体組織を、持続可能で頼りになる組織にするための日々の一歩を大切にしてほしいと願っています。