お金をかけても目指すべき学校の姿

 杉並区立済美養護学校を見学させて頂きました。明治40年開校ですが、昭和54年に養護学校になったそうです。閑静な住宅地の中、小学校が隣接していました。

 自立を目指すことを目標に、小学校、中学校に各4クラス程あるそうですが、転学する子どもの増加に伴い、教室やスペースをパーテンションで区切りながら使っていました。今後は、近くにある済美教育センターを増築し、中学部が移る計画だそうです。

 各クラスは多くても6人程で、先生が23人配置されているクラスもありました。支援も多様で、医療的ケアの必要なお子さんもいらっしゃいました。

 校長先生をはじめ職員一丸となって日々の授業、行事に子どもたちと共に取り組んでいる様子が伝わります。少人数での個別最適な学びが提供できている環境でした。

 不登校については、未然に察知して丁寧に対応しているため、不登校はいないとのこと。スキルのある先生は通常学校にも必要だと感じます。

 また合理的配慮については、計算を楽しく実用的に学べるようにコインやお札を使って計算したり、洗濯物が均等に干せるような目印を物干しに付けてあったり、調理台に食器やまな板を置きやすいように目印にテープを貼ったりと工夫がなされていました。絵本も普通の倍もある見やすい大きさであるなど、備品も行き届いていました。

 ただこれは、通常学校でも必要なことではないでしょうか。この手厚さを、素晴らしい先生を、まるごと地域の通常校に散りばめられないものでしょうか?地域に障がいのある子どもがいるのは当たり前であり、その地域社会の中で一人ひとりの子どもが影響し合いながら育まれるのだから。

 国会では裏金の話だらけですが、もしインクルーシブな学校はお金がかかると言うなら、どの口が言うのかと申し上げたい。目指す社会の姿を粘り強く説いていかなければと、改めて思わせてくれた見学でした。